深夜、どうという事もない気配で目が覚めた。
何がある訳でもない。静かないい夜だ。星明かりに微風が吹いて、馴染んだ水音の向こうからフクロウの啼く声。
だが眠りの去った体はひとりでにベッドを抜け出し、歩き始める。
何なんだろう、まだふわふわした思考は好奇心と惰性のおもむくままにその行動を止めようとしない。
やがて辿り着いたのは台所だった。半分開いたドアからは光と微かな匂いが洩れていた。ドアの向こうには、
無残に散らかった調理器具と食材と、
真っ黒焦げのナベの前に立ち尽くす人の姿。
「見たわね、リリック」
地獄からの呼び声が聞こえた。
夜の哀歌(ひだり/2006年3月20日寄贈)
ひだりさん作、リリック受難小ネタその3です。
夜中に一人起きて料理の特訓。普通だったらここで料理を教えることになって「いい話」になるのが定番なわけですが、
エレさんとリリックの場合はそう簡単には行かないようです(邪笑)。
・・・ひょっとして、「哀歌」ってリリックのこと?(爆笑)
ひだりさん、ありがとうございます!!!