- エレのスカート
-
- (夕食の後片付けで皿を拭いているリリックと、居間でくつろぐタクト)
- タクト:ねぇリリック、ちょっと聞きたいことがあるんだけど。
- リリック:(後ろを向いたまま)何だい?
- タクト:エレさんがスカートを履かないのって・・・
- (がしゃーん、と皿の割れる音。飛び上がるリリック)
- タクト:君がめくるからだって噂を聞いたんだけど・・・
- (リリック、慌ててタクトの口をふさいであたりを見まわす)
- リリック:(小声で)しーーーっ!その話はここでは禁句!!
- タクト:スカートの話?それとも君がめくるって話?
- リリック:わっ、バカ、聞こえたらどうするんだよ!・・・もちろんスカートの話!
- 僕がそんなことするわけないだろ!・・・大体、どこでそんな噂を聞いてきたのさ!?
- タクト:いや、昼間ロイに会ったらさ。
- リリック:あいつめ〜〜〜。
- タクト:で、なんでスカートの話はマズいのさ?
- リリック:(視線をそらして)・・・それは・・・ちょっと。
- タクト:あっそ。じゃあ、直接聞くからいいや。(家の奥に向かって)エレさーん!
- リリック:分かった、分かったから!話すって!!
- (タクトを部屋の隅に連れて行くリリック)
- リリック:このことは、絶対に他の人には内緒だよ。
- タクト:分かったよ。
- リリック:まあ、いつかは分かることだし。君の身の安全のためにも知っておいた方がいいしね。
- タクト:(身の安全・・・?)
- リリック:・・・エレがコーセルテルに来る前、何をしてたか知ってる?
- タクト:確か、どこかの騎士団にいたとか・・・。
- リリック:うん。でも、騎士団は普通女人禁制なんだ。
- タクト:・・・そう言えば、女性の騎士って聞いたことないなぁ。
- リリック:当然、男装は強制されるよね。エレがショートカットなのはそのときの名残なんだ。
- タクト:なるほど、確かにスカートじゃ戦闘には向かないもんね。だからエレさんは・・・
- リリック:・・・と、ここまでが表向きの話。
- タクト:え?
- リリック:実は、エレはコーセルテルに来てから一回だけスカートを履いたことがあるんだ。
- あれはここ(水竜術士の家)で竜術士の寄り合いがあった日さ。
- タクト:評判、・・・悪かったの?
- リリック:名誉のために名前は伏せておくけどね、ある竜術士に大笑いされちゃってね・・・。
- タクト:うわっ・・・。
- リリック:さらに寄り合い後の飲み会でさ、酔っ払ったある竜術士が・・・
- タクト:・・・が?
- リリック:・・・やっぱり、これ以上詳しくは僕の口からはとても言えないよ!
- とりあえず、流血の大惨事だった、とだけ言っておくよ・・・。
- タクト:ははは・・・(汗)。そんな過去があったんだ・・・。
- リリック:そうさ。君も間違ってもエレの前で「スカート」なんて言ったら・・・
- (殺気を感じて振り返る2人。そこにはにっこりと微笑むエレ(目が笑ってない)が立っている)
- エレ:リリック?ずいぶんと暇そうね。片付けは終わったの?
- リリック:あ・・・う・・・うん。
- エレ:それは良かったわ。じゃあ、これから水竜術の練習をするから、練習部屋にいらっしゃい。
- リリック:(真っ青な顔で)・・・はい。
- エレ:それから、タクト?
- (タクトのほうを振り返ってにっこりするエレ(やっぱり目が笑ってない))
- エレ:リリックの話、気にしないでね。
- タクト:は、はい。・・・あの・・・
- エレ:あれは冗談よ。ね?リリック。
- リリック:(蚊の鳴くような声で)はい・・・。忘れてね、タクト・・・。
- タクト:・・・(汗)。
- エレ:じゃあ、行くわよリリック。
- (エレ、リリックを引きずって去る)
- タクト:・・・僕、もう寝ようっと。
-
- 作者コメント:さーて、「ある竜術士」って一体誰でしょう♪
エレのスカート(渡辺稔/2002年10月20日寄贈)
会長作、リリック受難小説第1弾です。
きっかけは、当同盟の会員でもいらっしゃるしづき翔さんが提供して下さっている「コーセルテルの竜術士好きさんに50の
質問」の中にあった、「エレさんがスカートをはかないのはリリックがめくるからだと思う?」という質問でした。この質問を見て
すぐにこのストーリーが完成したわけで、僕の中ではリリックが受難キャラとしての地位を確立した記念すべき作品と
言えると思います(邪笑)。