−あとがき−

「音楽元ネタ小説」第2弾、「世界の果てまで」これにて完結です。いやー、書いていてなかなか
終わらなかったので、一時はどうなるかと思いました(笑)。少しでも楽しんでいただければ幸いです。

さて、ではここから例によって元ネタになった音楽の解説や内容の補足などをしていきたいと思います。
この小説は、山下達郎さんの『世界の果てまで』という歌を聴いて思い付いた話でした。歌詞の中に
あった「もう恋なんて二度としないと 強がりは悲しい別れの記憶」というフレーズ、そして歌の最後に
ある「あなたの風になりたい」「世界の果てまであなたを連れて行きたい」という部分を聴いたときに、
すぐに思い出したのが「六代目風竜王」・・・そう、ロッタルクのことでした。この話ではロッタルクの
旅立ちの契機について触れましたが、もし機会があったら二人の「その後」についても書いて
みたいと思います。

本編では、ロッタルクは「人間のお姫様と結婚した」ということになっていますが、この話では相手は
人間ではありません(まあ、郵便屋さんと同じく人間とのハーフではあるわけですが)。これは、
「仇敵である魔獣族の相手と結婚したということが分かると後世に汚点を残すし、子竜たちにも
悪い影響を与えるだろう」と考えた後世の権力者たちがそのことを隠蔽したのだと僕は解釈しました
(あくまで、僕の解釈ですよ(笑))。

この話で最も書きたかったのは、主人公の一人であるレティシアの屈折した心理でした。同じ境遇の
はずのウィルフさんは本編で概ね幸せな人生を送っているようですが、異種族間のハーフとして
生まれてしまった者にとって、得てしてその生は厳しいものになることが多いと思うのです。特に、
敵対する種族間や片方が種族として格下として扱われているような時には・・・(そして、外見が
明らかに異なる場合は尚更ですね)。
この話では、彼女は母の出身国とエリオットとの同盟のための政略結婚の道具として扱われます。
並でない向上心ゆえに国で一番の槍遣いになったものの、それが原因でまた命を狙われる羽目に
なります。人間、向上心と自分の努力だけではどうにもならないこともあるのだと、辛い現実に
ついても書いてみたくて、気が付けばこんな結果になりました。最後にロッタルクと共に旅立つことに
なって、彼女は救われたのでしょうか・・・。

そうだ、壁紙が第6話でコスモス(最大化していただければ見えると思います)になっていますね。
秋の花コスモスの花言葉は「乙女の純真」。さて、この話にふさわしく感じていただけたら良いの
ですが・・・(頑張って狙ってみたんですけどねぇ(笑))。

さて、最後になりましたがちょっと話の中の固有名詞(主に国名)について解説しておこうと思います。
「絵巻物」の中では、「コーセルテル」というのは国の名前ではありません。真竜族(本編で言うところの
「竜」のことです)の国家は「フェスタ」と呼ばれ、その中には「竜都」と呼ばれる場所が二つあります。
一つは普通の国家の首都の役割を果たす場所であり名はロアノーク、そして後から作られたのが
子竜育成のための都コーセルテルです。後者はエリオットとの国境にある山岳地帯に存在して
いるのですが、竜術によってその存在は厳重に隠されているので、竜術(あるいはそれに類似する
魔獣術や精霊術などの各種の術)を使うことのできない者には訪れることはもとより、発見すること
すら非常に困難であると言えます。
エリオットは山脈を挟んでフェスタの西に位置する国家です。そして、両国と境を接し、その北にある
国がメクタルです。メクタルは、北(この時点では主に人間が居住)と南(竜族や魔獣族、精霊族等が
居住)の大陸を結ぶ地峡になっているため、両者の混血が多く集まって作られた国であり、結果的に
各種の術の研究が盛んに行われることになりました。フェスタとエリオットがメクタルを支配下に
置こうとしたのは、両者とも後継者養成のために優れた術士を必要としていたからです(この辺りに
ついては、いずれ地図をアップする予定です)。

以上で、「世界の果てまで」あとがきはおしまいです。
機会があったら、ぜひ原曲の方も聴いてみてくださいね!