−あとがき−

「音楽元ネタ小説」第3弾、「萩野原」これにて完結です。今回の目標は「脱・ハッピーエンド」(おいおい)
だったんですが・・・いやー、なかなか手強かったです。

さて、ではここから例によって元ネタになった音楽の解説や内容の補足などをしていきたいと思います。
この小説は、中島みゆきさんの『萩野原』という歌を聴いて思い付いた話でした。そう、NHKの
「プロジェクトX」の主題歌でお馴染みの、あの中島みゆきさんです。
この歌は曲想も歌詞も非常に幻想的で、初めて聴いた瞬間「これは何か書かねばなるまい」と即座に
思い立ちました(笑)。今回の小説の内容と切っても切れないので思い切って全部掲載してしまい
ますが、こんな歌詞です:

懐かしい野原で遊んでる夢を見ました
何がそんなにおかしいのか笑っていました
風の吹く野原で髪が舞い上がっても
笑いながら走ってゆく後姿

振り返るといつの間にか後姿
振り返るとあの人に変わっていて
招くように急がすように笑って消えました

萩の咲く野原は行ったことがないのに
白くゆれる野原はまるで波のようでした
その中で私はあの人を呼んでいました
思い出せば昔一輪もらいましたね

目を覚ますと暗い部屋で泣いています
知らぬ人の腕の中で泣いています
思い出せるあの人はいつも少年です

懐かしい野原は今もあるのでしょうか
いつか私が帰ってゆく白い野原は
その中に私は住むことができるでしょうか
何も起きない頃のように笑うでしょうか

目を覚ますと暗い部屋で泣いています
知らぬ人の腕の中で泣いています
思い出せるあの人だけはいつも少年です


・・・ね、意味深ですよね(特に3番)。
さて、果たしてエストはあの後、この歌にあるように昔住んでいた場所へ戻っていくことができたの
でしょうか。それは皆さんのご想像にお任せします。
なお、エストの竜王としての名前「フェリシテ」はフランス語名で、ローマの幸運の女神Felicitasからです
(結果はご存知の通り無残なものでしたが・・・)。

この話にはちょっとだけ戦闘シーン(苦手なんですよ戦闘シーンの描写・・・まあ、苦手なのはそれ
だけじゃありませんが(爆))が登場しますが、古来より「戦闘での勝利を得るためにとんでもない
作戦を採る」とか、あるいは「戦争の勝利のために国を傾ける(←本末転倒です)」といった例は
枚挙に暇がありません。目先の勝利に目を奪われず、国や軍隊を率いて行くことができるのが、
真に優れた指導者ということなんですね。
そして、僕はこの話で、各部族の長老達を「目先の勝利に狂った者」としてかなり辛辣に描写して
います。本編では概して竜は善良なものとして描かれていますが、実際には(程度の差はあれ)
人間と同じように様々な性格の者がいたはずで、追い詰められればこのような手段に訴えてしまう
可能性だって否定できないと思うのです。もちろん、長老達には長老達の大義や「守るべきもの」が
存在するわけですが、それは敵も同じ。エピローグのメリアさんの呟きはここに根ざしています。

ところで、第6話とこの「あとがき」に使われている壁紙は実は「萩」じゃありません(爆)。「萩」という
のはいくつかの植物の総称で、萩という名前の植物は存在しないんだそうです(ちょうど、「桜」という
名前の桜がないのと同じような感じですね)。
色々と壁紙を探してみたんですがしっくりくるものを見つけることができなかったので、雰囲気が気に
入ったたんぽぽの壁紙で代用してみました。まあ、言わなければそうそう気が付く人もいないと思うん
ですけど、念のため(笑)。

以上で、「萩野原」あとがきはおしまいです。
機会があったら、ぜひ原曲の方も聴いてみてくださいね!