−あとがき−
「音楽元ネタ小説」第37弾、「Se.le.ne」はこれにて完結です。最近また「絵巻物」に本格的に取り組み
始めたんですが、その最初のターゲットとして選んだのが“季節の精霊”ということで・・・久しぶりの
本伝作品も夏の精霊絡みの話になりました。・・・って、前作「EARTH BEAT」から2年半ぶりって、
さすがに間の空け過ぎですね(爆)。
それでは、ここからは元ネタの解説と本文の補足などを。
この小説は、フュージョングループ「DIMENSION」の『Se.le.ne』という曲を聴いて思い付いた話でした。
ずっと聴きたかった『ROUND TRIP』がこのグループの曲だったので、収録されたCDを見付けた瞬間
買ってしまったわけですが(笑)、それに一緒に収録されていたのがこの曲でした。
タイトルの“セレネ”とはギリシア神話の月の女神の名前です。絵巻物に登場する夏の精霊の名前は
神話から採用することにしていますので、ここから「夏の精霊の話」という方針が決まり、以前書いた
漉嵌の「約束〜アリシアの場合〜」からストーリーの流れ、そしてとにかく恰好良いその曲想から
新キャラであるセレネの性格が決まりました。
余談ですが、月の女神であるセレネは同じくギリシア神話のアルテミスと同一視されていたそうです。
アルテミスと言えばご存じ「狩猟・純潔」の女神・・・ということで、(この話の登場人物の)セレネには
半弓を持たせることが決まりました。実際には彼女は多才で、夏軍で一般に用いられる槍とこの弓の
他にも、様々な武器の研鑽を積んでいます。夏の精霊としては極めて理性的な性格であることが、
テーセウスにとっては幸いしたと言えそうですね(笑)。
この話で書きたかったことの一つに、「夏の精霊」に関する様々な設定(あ、もちろん僕のオリジナル
ですよ)がありました。夏の精霊の性格については今まで色々な話で触れてきましたが、その象徴と
して今回の恋愛に関するエピソードを盛り込んでみました。
そして、夏軍の構成についても今回初めて踏み込んだ記述に挑戦。四寒気団で構成される冬軍、
東西南北と中央の五軍構成の春軍とはまた異なり、夏軍は“八頭”と呼ばれる八つの部隊と近衛隊で
構成されています。他季軍との最も大きな差は、王が毎年必ず前線に姿を見せる点です。そのため、
本来は王や都を守るべき近衛隊も毎年前線に出ることになり、結果的にセレネも豊富な実戦の経験を
積むことになりました。
なお、八頭の名前はすべて著名な局地風から採りました。テーセウスが率いる「フェーン」はヨーロッパ
で観測される、アルプス山脈を越えた高温で乾燥した南風のこと(高い山を越えた風が風上側に対して
高温になる現象は、ここから一般的に「フェーン現象」と呼ばれるようになりました。元はヨーロッパ
だけの呼び名だったんですね)。セレネの率いる「アリゼ・マリティム」は西アフリカで吹く湿潤な北東
貿易風の名前です。他の七頭についても名前は全て決定しているので、いずれどこかでその隊長
共々お目見えさせたいと思っています。
ちなみに、セレネがノルテに渡した「隊員章」は、実は長らく空席だった近衛隊の副隊長のものです。
セレネが隊員の資質を厳しく吟味した結果なのですが、このメダルが元で後日新たな騒動が起こる
ことになります。それはまたの機会に(邪笑)。
そして、アリシアとセレネの板挟みになっているテーセウス。筆者としてはあっさりアリシアとくっつくかな
・・・と思っていたんですが、どうもこの話を書く内に雲行きが怪しくなってきてしまいました。こちらも
今後、目が離せませんね。ははは(邪笑)。
これで、「Se.le.ne」のあとがきは終わりです。
機会がありましたら、ぜひ元ネタの曲も聴いてみてください。