−あとがき−
「音楽元ネタ小説」第11弾、「青空」これにて完結です。竜術士過去話第2弾はカディオさん(正確には
その精霊術の師)の話になりましたけど、ついにシリーズ最長を記録しました(笑)。これ、続編も
考えてるってのに・・・どうしましょう(笑)。
さて、ではここから例によって元ネタになった音楽の解説や内容の補足などをしていきたいと思います。
この小説は、石嶺聡子さんの『青空』という歌を聴いて思い付いた話でした。非常に美しい曲で、さらに
その歌詞がまた想像力をかきたてます。一番のサビの歌詞は、
好きだから信じてる 離れているけど幸せ
風に任せてloving you
青空に約束したのよ 力まず強く生きるの
回る季節のように優しく・・・I love you so
そして同じく二番のサビの歌詞が、
永遠の愛だから 焦らず掴むの 悲しみ
風に吹かれてloving you
星空に輝く小さな夢たち 勇気くれるの
いつか願い叶う日が来る・・・I love you so
となっています。この『青空』という小説は、このサビの歌詞をから出来上がったと言っても過言では
ないと思います。
故郷に戻り、悲しい現実と向き合わざるを得なかったガートルードの心の中に残った「夢」や「約束」は一体どんなものだったのでしょうか・・・。
さて、この小説で僕が書きたかったことの一つは「精霊術士(精霊術)は果たして悪なのか」ということ
でした。本文第2話でガートルードがカディオに言っている、「動物や植物なら気にならないのに、精霊
なら気になるのはなぜなんだ?」というのは僕自身の疑問でもあるわけです。
本編では、「精霊を逃がして追放された」という過去を持つカディオは基本的に善の存在として描かれて
いますが、それは必ずしもそうだと言えないのではないでしょうか。例えば、乾燥した地域で水の精霊
術を・・・あるいは、寒冷な地域で火の精霊術を使って生活を支えている人たちにとって、精霊は自分
たちの生活になくてはならないもののはずですね。もし、それを「かわいそう」という理由だけで逃が
されてしまったら・・・恐らく、その人たちの生きる術を奪うことになります。この場合、その人たちに
とってカディオのやったことははっきりと「悪」になるわけですね。
精霊と、普通の動植物の間にはどんな違いがあるのでしょうか。姿形が人間に近いから? それとも、
高い知能を持っているから? ・・・いやそもそも、そうした観点で生物を選別するということ自体が
人間の驕りなのかも知れません。
(ちなみに、この小説には文章としての元ネタがあります。cordeliaさんの書かれた『エルフロック』という
小説がそれで、それまで一般的に「精霊を逃がすことは善」と単純に思っていた僕は強い衝撃を受け
ました。恐らく、この『エルフロック』という小説に出会っていなければ、今回の作品はなかったでしょう)
主人公のガートルードは、以前の『夢のきらめき』にちらっと登場しています。名前は続編(予定)の
『ガーティの夢』を睨んでこれを選びました。本文は彼女が38歳の時の話で、精霊術士の訓練生として
登場しているカディオはこの時14歳ということになっています。
また、水の精霊エリアルはこれも『夢のきらめき』、そして過去に「日記帳」に掲載されていた『彼が酒を
飲まない理由』(カディオが主人公でした)という短編に名前が出ています。本文に出てきた風の精霊
シルフェスと共に、今後のカディオの過去話に深く関わってくる予定です。
そして、楡(ニレ)の木の精霊であるエルム。“エルム”は英語名で楡の木のことを指し、花言葉は
「希望」と「高貴」。ガートルードのみが立ち入ることを許された場所がある、というエピソードは『となりの
トトロ』の影響をもろに受けました(笑)。
なお、今回も壁紙関係では崎沢彼方さんにお世話になりました。第4・5・7話、そしてこのあとがきで
使われている壁紙は、なんと作中の「泉」の様子を無理言って描いていただいたものだったりします。
最初「森の中に泉があって、真ん中に木が一本立っている」という簡単な説明だけで壁紙を作って
いただいたんですが(「楡の木」とは言わなかったんです)、いただいたものは資料として手に入れた
楡の木の写真と非常に良く似ていてびっくりした覚えがあります。お蔭で、物語の雰囲気にぴったりの
背景を使うことができました。
この場を借りてお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました〜!!
以上で、「青空」あとがきはおしまいです。
機会があったら、ぜひ原曲の方も聴いてみてくださいね!