−あとがき−

「音楽元ネタ小説」第29弾、「Cross Colors」はこれにて完結です。本格的に仕事が始まってからおよそ
4ヶ月、ようやくそういった生活にも慣れて、こうしてある程度の長さの作品を創ることもできるように
なりました(いや、実際仕上げには丸々二日間が必要だったわけですが。「一気呵成」でないと作品が
仕上がらない、という癖は昔と変わっていないようです(笑))。

では、ここからは元ネタになった音楽の解説や内容の補足などをしていきたいと思います。
この小説は、小柳ゆきさんの『Cross Colors』という歌を聴いて思い付いた話でした。この歌はプレイ
ステーション2用のソフト『真・三国無双3』のエンディングテーマとして使われていまして、それが縁で
耳にすることになったんですが、聴いた瞬間曲想・歌詞共に「ビリッ」と来るものがありまして(笑)。
お蔭で、その当時ぼんやりとした構想していた“『PURE AGAIN』シリーズ最後の作品”の内容が急速に
具体化したのでした。タイトルの“Color”は人間の“性格”を現す言葉ですが、歌詞の中では自分の
“夢”や“信念”、そして“アイデンティティ”といったような意味も込めて歌い上げられています。

everyday戦い続け 悔し涙流して
心に傷を負って 色さえも失くしてく人
ずっと夢に向かって 自分の色を信じて
生きてる私に paretteなんて必要ない

追いかけて 永遠の色 誰に何を言われても
いつだって ありのままで 流されたくはないから
いつの日にか このstyleで 自分だけの夢
勝ち取るから I will never change my color

run the way走り続けて 自分だけの光を
ah 何度も挫けて 躓いて 手に入れてく
Colors 重なり合って 染まりやすい世界でも
自分を信じて 弱気なんてぶち壊して

追いかけて 永遠の色 誰にも譲りたくない
いつだって あの時のような 熱い瞳忘れない
この想いが届くはず 描いてた夢
手に入れる I will get only my color

追いかけて 永遠の色 誰にも譲りたくない
いつだって あの時のような 熱い瞳忘れない
追いかけて 永遠の色 誰に何を言われても
いつだって ありのままで 流されたくはないから
いつの日にか このstyleで 自分だけの夢
勝ち取るから I will never change my color

・・・となんとも熱い歌詞で、ここから切迫した時代背景と、主人公のセリエの性格が決まることに
なりました(笑)。

ところで、僕が好きなシチュエーションの一つに「敵味方の交流」というものがあります。ゲームでも、
敵として戦った相手が最終的には味方になってくれると嬉しいものでして、この“好み”は『世界の
果てまで』や『春よ、来い』といった過去の絵巻物作品にもしばしば登場しています(笑)。
一方で、この『Cross Colors』が属する『PURE AGAIN』のシリーズについては、挿絵を担当してくださって
いるリンさんのお蔭もあって「漉嵌の間」にここまで計7本ものサイドストーリーを書いてきました。
もちろん、まだ他にも温めているネタはあるわけなんですが、そろそろその「しめくくり」に相応しい
作品を一本書いてみたいな、と思い立ちました。その時に出てきたのがこの“敵味方”というシチュ
エーション・・・つまり、「竜王を暗殺にきた人間」と竜たちの係わり合い、という話だったのでした。
ああもちろん、『終わらない物語』の時と同じく、「これで『PURE AGAIN』のシリーズを書くのは止めます」
ということではありませんのでどうぞご安心ください。実際、南大陸に渡ったセリエと竜たちの日常に
ついても色々と想像が膨らむところですし(邪笑←?)、こちらの“サイドストーリー”についても、
機会を見付けてまた書いてみたいと思っています。

次に、登場人物について。
主人公のセリエですが、その性格や武器については『グランディアエクストリーム』の登場キャラクター、
ルティナの影響を色濃く受けました。彼女は作中でやはり主人公たちの敵として登場し、最終的には
パーティメンバーの一員になるというおいしい役回りなわけなんですが(笑)、そのアクションの中に
例えば「短剣を敵に投げ付ける」といったものがあったりします。頑固で不器用、でも自分の信念は
どこまでも貫こうとするという性格はユーニスと共通であって、ヒューもそこに惹かれていくことに
なります。
後は、今回の話でユーニスの育てた子竜たちのうち何人かが初めて本格的に登場しています(代表は
ヴィスタとエクル)。状況が状況だっただけに仕方ない部分もありますが、個人的にはヴィスタがかなり
こわもて(笑)な性格になってしまって少し驚きました。元々僕は地竜の性格をこのように描いてしまう
傾向があるらしく(ジークリート@『夏の手紙』シリーズ、ユイシィ@合同誌)、地竜好きの方からは何を
言われるのかとちょっとドキドキしているところです(笑←殴)。

最後に、この話の時代背景についてですね。
この話は、ユーニスの死後およそ20年、アルバ帝国消滅の直前を描いています。初代が華々しく
打ち立てた帝国が数代であっさり滅んでしまうというのも、古代中国の秦(かの有名な始皇帝のあの
秦です)の例を挙げるまでもなく、このアルバ帝国も同じ末路を辿ることになります。幸いだったのは、
それが力による衝突(革命)ではなく、話し合いによって行われていったということ。長い時間をかけて、
最終的に「アルバ帝国」自体は消滅することになりますが、その伝統は現在のイーグルやヴァン
フォーラ(最後まで帝国としてまとまっていたのがこの二州でした)にしっかりと受け継がれることに
なりました。
また、作中でのセリエたちザイン一族ですが、これはやはり『三国志』に登場する少数民族に影響を
受けています(代表は、呉軍に組み入れられたという山越族ですね)。普段から謂れのない蔑視や
迫害に晒されることによる疲弊、そして外部から大きな力に圧迫されたときに起きる民族内の抗争。
そういった背景をこの話に織り込むことができて、話の味わいが少し深まったかなと思います。

以上で、「Cross Colors」のあとがきはおしまいです。
機会があったら、ぜひ原曲の方も聴いてみてくださいね!