(2)剣
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エレさんと言えば、やっぱり剣の話からよね。 |
| エレさん、剣がとてもお上手なんですよ! 見ていると、いつもほれぼれしてしまいます・・・。 |
| うん、まあ・・・ちょっと強過ぎるんだけど、ね。 |
| エレさんってさ、家ではどうしてるのさ。やっぱり、四六時中木剣を持ち歩いてたりするのかい? |
| (やっぱりってなんだよ・・・) いや、さすがにそれはないよ。ね、クララ。 |
| そうね。でも、大体手の届くところには置いてあるの。何かあったらすぐに使えるようにね。 |
| 何か・・・ですか? |
| マリエル、それは聞いちゃかわいそうだよ。 |
| でも、エレさんの場合は・・・料理でも包丁より剣の方が似合いそうよね。 |
| そうなんだよ! 前に、あんまり包丁が使いにくいからって剣を持ち出してきたことがあってさ。ニンジンのみじん切りとか、そりゃもうすごい勢いで・・・ |
| げ。本当にやったの・・・? |
| ・・・リリック、減点よ。 |
| あ゛。(口を押さえて)しまった・・・! |
| あらあら、早速爆弾発言かしら。帰った後が怖いわね〜、リリック |
| ううっ・・・ |
| そう言えばさ、エレさんって・・・剣は誰に習ったんだろう。 |
| う、うーん・・・ぼくも詳しく聞いたことはないんだけど。クララは知ってる? |
| ううん。聞いたことない。 |
| でもさ、ランバルスさんと違って“自己流”ってわけじゃないんだよね。 |
| うん。こっちに来てから習ったわけじゃないみたいだし、やっぱり外の世界で剣の練習をしたんだと思うよ。 |
| でも、エレさんは外では“お姫様”だったんでしょう? 剣なんか、教えてもらえるのかしら。 |
| ははは、あの性格だよ? きっと断られてもごり押ししてさ・・・ |
| また減点ね。 |
| あっ・・・あっあの今のは・・・ |
| 問答無用。 |
| ううっ・・・。・・・それと、関係あるか分からないけど・・・カシさんが、エレの剣にはちょっと変わった癖があるって言ってたな。 |
| 変わった癖・・・ですか? |
| うん。ほら、僕らが使ってる木剣は両刃剣用だろ? だけど、エレの剣にはそうじゃない流儀が混じってるって・・・。 |
| ふーん。まだまだぼくらには、その差は分からないけどなあ。 |
| ああ、そうですわ。私、前からリリックさんに一つお伺いしたいことがあったんです。 |
| 何だい? 改まって。 |
| リリックさん、お家でエレさんに剣術の『特別訓練』を受けていらっしゃるんですよね。一体、どんな訓練なんですか? |
| え゛!? |
| あ、それはぼくも興味あるな。 |
| リリックさん、本当は剣がもっとお上手なんでしょう? いつもはそれを表に出されないだけで・・・守っていただいた時に、そう思ったんです。 |
| それが、『特別訓練』のおかげじゃないかって、マリエルは思っているわけね? |
| はい! |
| ・・・・・・。 |
| なあ、本当のところはどうなんだい。すっきりと白状しちゃいなよ♪ |
| 白状って・・・。え、えっと・・・その、『特別訓練』ってのは・・・ |
| はい(わくわく)。 |
| う・・・ううっ・・・ |
| ・・・リリックさん? |
| や・・・やっぱり言えないよ! |
| まあ・・・やはり、門外不出の訓練法なんですね。よし、私も今度エレさんにお願いして・・・! |
| だ・・・ダメだってマリエル! あんなのやらされたら死んじゃう・・・はっ!! |
| あーあ、リリック・・・言っちゃったわね。 |
| しまったー!! |
| あーあー。これじゃリリックが家に帰れるか怪しくなってきたね。ねえ、ノイ? |
| そうね、ロイ。 |
| ・・・・・・。 |