Reincarnation 1     

Reincarnation


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あれから、どれくらいの時間が経っただろうか。
一人きりの、流浪の旅。魔王を討たれ、散り散りになった魔族の生き残りへの情け容赦のない仕打ちは、どの民族であっても変わりはなかった。住む家もなく、口にするものすら事欠く状態が、何年も続いた。

早く、死にたかった。死んで、魔王の傍に寄り添いたかった。
自害は禁じられたが、他者に殺されるのであれば、それは自害とは言わないはずだ。相手は、憎き地上の住民であろうと、あるいはふと出会った山野の猛獣であろうと構わなかった。自分を斃してくれる相手を求め、クーデリカは地上世界をひたすらに彷徨った。

しかし、死ねなかった。
長年の戦に研ぎ澄まされた頭脳が、そして魔族としての強靭な肉体が、それを許さない。対峙した相手を半ば無意識のうちに蹴散らし、クーデリカはいつも生き残った。

(魔王・・・様・・・)

頭を占める思いは、いつもたった一つだった。至上の忠誠を捧げ、我が身に代えても護り抜くと誓った希代の魔王。しかし、自分はその誓いを果たすことはできなかったばかりか、一人惨めに生き恥を晒してしまっている。
得るものも、失うものもない、無味乾燥な毎日。このまま、このような日々が永遠に続くのだろうか。
嫌だ。・・・そんなことは、絶対に嫌だった。しかし、どうしようもないのもまた、事実だった。

(・・・・・・)

当てもない、クーデリカの放浪の旅。それは、絶えることなく続くのだった。


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