友達
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「あ・・・あの!」
店を出たクレオは、去っていく男に駆け寄った。
「さっきは、ありがとうございました!」
「ん? ・・・ああ、いいっていいって。何となくさ、こうなることは分かってたんだよな。」
立ち止まり、振り向いた男は楽しそうに笑った。
しばらくの間俯いていたクレオは、やがて顔を上げると男に問いかけた。
「あの。さっき、僕のことを“友達”だって・・・」
「ああ、アレか。ああ言えばおやっさんを納得させられると思ったんだがな。・・・気を悪くしたか?」
「いえ、そんな! そうじゃなくて・・・」
「・・・?」
「・・・嬉しかったんです。僕には、友達なんていなかったから・・・」
微笑んだ男は、小さく溜息をついた。
「そうか。その眼帯・・・そんなところじゃないかと思ってたんだが。」
「・・・・・・。」
「心配すんな。こっちには、そんなことでお前さんを悪く言う奴はいないさ。いや、水竜術士だってん
なら、むしろ誇りに思ってもいいんじゃないか?」
「そ・・・そうでしょうか?」
「そうさ。今まで色々あったろうが、もっと自分に自信持ってな。」
ここまで言った男は、笑顔で片目を瞑った。相手の温かい言葉に胸が一杯になったクレオは、
久しぶりの満面の笑顔を浮かべた。
「あの、僕はクレオ。クレオといいます。」
「クレオか。オレはリカルド、火竜術士をやってる。・・・これから、よろしくな。」
「はい! こ・・・こちらこそ!」
「そこで、クレオ。モノは相談なんだが。」
「はい。何でしょうか?」
にやりと笑ったリカルドが、クレオの顔を覗き込む。
「クレオ。・・・お前さん、オレと一緒に記念祭に出る気はないか?」
はしがき
リカルドとクレオの出会いについて書いてみました。
コーセルテルは子竜を育てるために作られた都なので、それに直接関係ない職種の店はほとんど
ありません。楽器屋もこの一軒だけで、訪れる客もリカルドを含め数えるほどしかいません(後に
エディスもここでリカルドと出会っています)。ほとんど店主の「趣味」で経営されている店ばかり、と
いうことですね(笑)。
ちなみに、この楽器屋の店主の名はベルガで、『DAISY FIELD』に名前が出ています。