エカテリーナ      3   

(3)勉強
術の勉強は、どのように?
うん。まずは「当たって砕けろ」っていうか・・・とにかく、やってみることだって。怪我とかしても、少々なら全然気にしない人だったし。
少々・・・な。
ほら、子供に関してさ、獅子がどうとかっていう言葉があっただろ。
「獅子は、我が子を千尋の谷に突き落とす」ってやつか?
そうそれ。飛翔術のときだって、いきなりあの岩山から・・・
お・・・おいおいおい!
母さんもみんなも笑ってたし、別にちっとも怖くなかったけどね。結局、すぐに飛べるようになったし。
でも、それって・・・笑顔なだけに、ある意味とても怖いですよ。
・・・それで、それからはお前も「とりあえずやってみよう」ってことになったわけか。
うん。
はあ・・・ミリュウがいつも傷だらけだったのが、これで納得できました。
もう、兄さん・・・そんな昔から無茶してたなんて!
ははっ、大丈夫さ・・・最近は無茶はしてないからね。
(最近は、か・・・)
ああ、「術」で思い出したんですが・・・私が魔獣術を勉強するようになったきっかけは、実はエカテリーナさんなんですよ。
お、それは初耳だな。・・・どういうことなんだ?
・・・「高い高い」ってあるじゃないですか。親が、子供をあやす時の。
はい、ありますけど・・・。
ある日、見ちゃったんですよ。エカテリーナさんが、ミリュウに「高い高い」してるの。
別に、珍しいことじゃないと思うが。
それが、べらぼうな高さじゃないんですよ!
というと・・・まさか、天井まで放り上げたとか?
とんでもない!
そうですよね。まさか、自分の息子にそんなこと・・・
見えなくなるくらい、高いところまで風竜術で・・・
なんだと!!
(ぞーっ)
最初はそんなものかと思ったんですけど、家に帰って母さんにその話をしたら青くなってました。それで、思ったんですよ・・・自分も早く魔獣術を身に付けないと、身の危険があるかも知れないって・・・
あれ? それって普通じゃないの?
・・・まさか君、預かっている風竜たちにも・・・!?
ミリュウ・・・お前ってやつは。

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