花火    2     

(2)花火ってなあに?
そうか。アグリナ以外は花火を見たことがないのか・・・。
ねえランバルスさん、はなびってなあに?
一応説明するとだな。・・・温度にもよるが、火は大体赤い色をしてるよな。
うん。
そこでだ。それにある特定のものを入れると、火の色が変わるんだ。
・・・?
あ! この間、姉ちゃんがストーブの上にかけっぱなしにしたヤカン! あのとき、確か緑色の火が出てびっくり・・・
リタっ! 余計なこと言わないの!!
ははは、それそれ。実際はな、緑だけじゃないぞ・・・青や紫、橙に金銀と何でもありだな。
でも、それって・・・光竜術とは違うの?
ふっふっふ、それが違うんだな。これは竜術じゃない・・・人間だけの力でできる代物だ。
人間だけで? すごいなあ。
まあそれでだ。そうやって火の色を変えて、「きれいだねー」って観賞するのが花火ってわけだ。
ふーん。でも、今の説明だけじゃいまいちピンとこないわよ。
まあ、それもそうだよな。えーとだな・・・(辺りを見回す)。
(玄関で)こんにちわー。郵便です。
お、ちょうどいいところに。おーい、ウィルフ!
あれ、ランバルスさん。珍しいですね、こんなところにいらっしゃるなんて。
おう、ちとヤボ用でな。
はい?
いや、例の座談会の司会をな。お前さんも出たことあるんだろう?
ええ、まあ・・・。・・・それで、私に何か用ですか?
おう、それそれ。頼みごとがあるんだが、引き受けてくれないか?
ものによりますけど。何でしょう?
適当な花火を買ってきてくれないか? 手に持ってやるタイプのヤツだ。
は・・・花火!? 何でまた・・・。
仕方ないだろう。お題が『花火』だってのに、それを知らないヤツの方が多いってんだからな。
確かに・・・コーセルテルには花火はありませんからね。
というわけで、いっちょ頼むわ。魔獣術なら、外の町まですぐに行けるんだろう? そこで、適当に見繕って来てくれ。・・・ああ、お金は後で払うから、とりあえず立て替えておいてくれ。
でも・・・
よし。それじゃ、お前さんが読みたい本があったら、うちの書庫から何でも貸し出すぞ。これでどうだ。
う・・・。・・・分かりました、引き受けます。
よし、頼んだぞ。
ランバルスさん、ゆうびんやさんとのお話はおわったの?
おう。・・・何だかんだ言って、実際にやってみるのが一番だからな。「百聞は一見にしかず」とも言うしな。・・・と言うわけで、ウィルフが戻ってくるまで、花火にまつわる話でもして待とうや。

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