チーム        4     

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「遠いところ、わざわざ済まなかったな。」
「いえ。霊峰からここまでなんて、ほんのひとっ飛び。今は春軍も大人しい時期ですし、どうってことない
ですよ。」

夕刻になって、最後の四天王がアズサの許を訪れた。
四天王筆頭センジュ。世界に散らばる冬軍永久陣地のうち、最南端に当たる霊峰エルウィーズの
守護がその主な任務であり、センジュは一年の大半を霊峰で過ごしているのだった。

「で? 一体何があったんです? らしくないじゃありませんか、急に団長がやる気を出すなんて。」
「うむ。・・・それは、話すと長くなる。」
「へえ。ま、お偉方は喜んでるんじゃないですか? どこでどんな修行をしてたんだか知りませんが、
長年行方をくらましてた団長が復帰して・・・おまけに新しい永久陣地まで手に入ったんですからね。
結局、オレには関係のない話ですがね。」
「関係がない? センジュよ、そなたはこのリュネル四天王の筆頭であろう。それは、どういう
―――――」
「言っておきますけど。オレはまだ、団長を認めたワケじゃありません。」

アズサの言葉をその半ばで遮ったセンジュが、じっとアズサのことを見つめた。その目には、皮肉な
光がある。

「分かるでしょう? 団長が職務を放棄してたこの数十年、一人で霊峰を守り抜くのがどんなに大変
だったか。大事な部下も、何人も消えちまったんですよ? ・・・気軽に、この寒気団が自分の思うように
なるって考えられちゃ、困ります。」
「・・・・・・。」
「ほかのヤツらだって、多かれ少なかれ同じことを考えているんじゃないですか。この寒気団の団員
だけじゃない。冬軍全体が、今年の団長の・・・そして、オレたちの動向に注目してるってことです。」

小さく肩を竦めたセンジュが、ここで立ち上がった。幕舎の出口で立ち止まると、肩越しにちらりと
アズサの方を振り向く。

「今年の春は、団長にとって勝負の時になるでしょう。最近じゃ、うちはまともな戦をしたこともないん
ですよ? つまり、戦果もゼロ。ここでまた、春軍にこてんぱんにやられるようだと、寒気団の統合や
廃止の話も出てくるかも知れませんね。」
「・・・・・・。」
「せいぜい頑張ってください。団の皆に・・・いや、冬軍に見捨てられないよう。」
「・・・・・・。お前の言葉は、肝に銘じておくことにしよう。」
「そうしてください。・・・じゃ。」

小さく手を挙げ、センジュは幕舎から出ていった。その後姿は、たちまちのうちに闇に溶け込んで
いった。


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