私の名前            6   

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「君の名前の由来かい? えっと、確か・・・」

夕食の準備のために台所に立っていたクレオは、自らの補佐竜の問いに少しの間考え込んだ。その
様子に、ルクレティアが眉を寄せる。

「ひょっとして・・・自分で付けたくせに、覚えてないの?」
「いや、違うよ。ティアの名前は、僕じゃなくて里のご両親が付けられたからね。」
「あ、そうだっけ。」
「コーセルテルに来たときに、もう卵から孵っていたのは・・・君とテラさんの二人だけだったんだよ。」
「・・・それで? 意味とか、由来とか・・・何か聞いてる?」
「あ、うん。確か・・・“他人の助けになる”という意味じゃなかったかな。」
「助け・・・?」
「そうだよ。・・・よし、これでいいな。」

鍋に蓋をしたクレオは、ここで初めてルクレティアの方を振り向いた。

「でも、ぴったりだよね。君の名前・・・」
「え?」
「響きがきれいなのもそうだけど、まさに性格を現してるじゃないか。・・・あ、これは名前通りの性格に
なった、と考えた方がいいのかな。」
「そうかなあ。・・・自分では、あまり意識したことないけど。」
「そうだよ。水竜のいいところが出てるっていうか・・・ね。テラさんだって、それでどんなに助けられたか
分からないと思うよ。」
「ふーん・・・。」

小さく首を傾げたルクレティアに向かって、クレオはにっこりと笑いかけた。

「僕は、本当に・・・優しい、いい子に恵まれたと思ってるよ。」
「もう、クレオったら!」
「僕は本気だよ。これからも、変わらないでいて欲しいな。」

いつも思うのだが、こういうことを真顔で言えるのはすごいと思う。
頬を染めたルクレティアは、仕方なさそうな素振りで頷いてみせた。もちろん、その口元には抑え
切れない笑みを浮かべて。

「しょうがないか。クレオの頼みだもんね。」


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