風のレジェンズ  プロローグ            エピローグ

 −エピローグ−

「じゃ、僕はこれで。」
「あの、ウィルフさん・・・」
「なんだい?」

次の配達先に向かうべく、踵を返しかけたウィルフに向かってミリュウが声をかけた。

「余計なお世話かもしれませんが・・・ウィルフさんも、もう少し家に帰ったらどうですか。メリアさんが
時々寂しそうにしてますよ。」
「うん、そうだよ! ラルカだって、会うたびに最初に言うのは郵便屋さんのことだもん!」

一瞬、困ったような表情を浮かべたウィルフは、次の瞬間二人に向かってにっこりと微笑んだ。

「そうだね。・・・そうするよ。」

二人に笑顔で手を振り、風竜術士の家を後にする。
魔獣族であるウィルフの父は、遠い昔に死んでいた。戦死だったというが・・・それをきっかけに
母であるメリアは故郷を離れ、この地で竜術士になる道を選んだのだった。

(父さんの顔を知らないってのは・・・ミリュウと一緒なんだよな)

物心ついた頃からメリアと二人きりだったウィルフは、父のいるミリュウがいつも羨ましかった。例え
どこにいるのか分からなくても、いつかは会えるという希望を持つことができる。
自分の父は、一体どんな人物だったのだろうか。
父と母は、故郷では敵対する種族同士だったという。そんな二人が、なぜ結ばれることになったのか。
・・・そして、母はなぜ故郷を捨てなければならなかったのか。
できることなら、一目会って・・・色々と話をしてみたかった。しかしそれも、今となっては叶わない。
魔獣術で次の配達先へと転移しながら、ウィルフは複雑な表情で呟いた。

「帰れる場所が、あるうちに・・・か。」


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