HAPPY BIRTHDAY    2                10  11 

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「まあ! 私、こうした集まりに憧れていたんです! ぜひ参加させていただきたいですわ。」

目を輝かせ、胸の前で手を組み合わせたファーリルの様子に、「もし一人目から断られたらどうしよう
・・・」と道中心配していたロービィはホッとした表情になった。

「えっと・・・モーリンさん?」
「ええ、構わないと思いますわ。ファーリルもそろそろ、そうした経験をしてもいいと思っていたところ
ですから。」
「あ・・・ありがとうございます。」
「いいえ、お礼を申し上げるのはこちらの方ですわ。・・・良かったわね、ファーリル。」
「はい! ロービィ、誘ってくれてありがとう!」
「え・・・ああ、うん。」

輝くような笑顔のファーリルに手を握られ、赤くなるロービィ。その様子をにこにこしながら眺めていた
モーリンは、回覧板にサインをするとそれをロービィに手渡した。

「あ・・・そうだ、いつどこでやったらいいか・・・希望はありますか?」
「そうですわね・・・。特にないですけれど、会場はここや暗竜術士の家は避けた方がいいでしょうね。」
「あの・・・それは、どうして・・・?」
「ここと暗竜術士の家は、コーセルテルの端っこにあるでしょ? だから、人によっては行くのが大変
じゃない。」
「あ、そうか。そうですよね。」

こうして、ファーリルのもっともな台詞に、ロービィは頭を掻くと回覧板に「光竜・暗竜術士の家は避ける」
と書き込んだのだった。


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