HAPPY BIRTHDAY              7      10  11 

 −7−

こうして、他のメンバー全員の参加を取り付け、満を持して訪れた暗竜術士の家。暗竜エリーゼを
前に、ロービィは必死の説得を続けていた。

エリーゼ説得中(アルトさん作画)

「・・・ということで、今回ぼくらだけで寄り合いをしようと思うんだけど・・・」
「・・・・・・。」
「・・・その、他のみんなは来てくれるって言ってるんだ。」
「・・・・・・。」
「エリーゼも・・・よかったら来ない? きっと、楽しいと思うん・・・だけ・・・ど・・・」
「・・・・・・。」
「エリーゼ、どうするの?」

ロービィの方をじーっと見つめるエリーゼ。そのあまりの反応のなさにとうとう俯いてしまったロービィを
前に、傍らに立っていたメリアがにこにこしながら返答を促した。どうやら、こうしたエリーゼの反応は
いつものことらしい。

「・・・行く。」
「本当!?」

しばらく考えたエリーゼは、やがて一言承諾の言葉を口にした。回覧板を抱きかかえたまま下を向いて
いたロービィは、その言葉に弾かれたように顔を上げた。

「よかった・・・。」
「ロービィ、それで開催の日取りだけど・・・悪いけど、早くて三日後にして貰えるかしら。」
「あ、はい・・・それはかまいませんけど。」
「明日の夜、ウィルフが帰ってくる予定なのよ。明後日にはまた仕事に戻ってしまうから・・・ウィルフが
家にいる間は、ラルカもエリーゼも他の事は目に入らないと思うのよ。」

ウィルフはメリアの実の息子である。郵便配達の仕事が忙しくてなかなか家に帰れないウィルフの
ことを、暗竜姉妹はいつも待ち侘びているのだった。

「分かりました。それじゃ、くわしいことが決まったらまたお知らせにきます。」
「悪いわね、頼んだわよ。」
「・・・待ってる。」
「はい!」

(やった! これでみんな来てくれることになったんだ!)

こうして、メリアとエリーゼに小さくお辞儀をしたロービィは、足取りも軽く暗竜術士の家を後にしたの
だった。


HAPPY BIRTHDAY(8)へ