HAPPY BIRTHDAY            6        10  11 

 −6−

「どうしようかなぁ・・・」
「あ、無理に・・・とは言わないよ。もちろん、来てくれたほうがうれしいけど・・・」
「うーん・・・。」

(やっぱり、無理かな・・・)

火竜術士の家。あまり乗り気ではなさそうなリタの様子に、ロービィは心なしか肩を落とした・・・と、
ここで回覧板に目を通していたイフロフが驚いたように眉を上げる。

「・・・む? ロービィ、もしやこの回覧板・・・一人で全ての竜術士の家を回るつもりか?」
「あ、はい・・・その方が早いって、師匠が・・・」
「全部の家!?」

イフロフの何気ない言葉に、リタはロービィに詰め寄った。

「ね、ロービィ・・・ってことは、水竜術士の家にも行ったの!?」
「うん。ここの前に寄ったけど・・・」
「クララは!? クララは何て言ってた!?」
「クララ? えーと・・・何があっても来るって言ってたよ。」
「!!」

(本当だ・・・カディオさんの言うとおりだ・・・)

「クララ」という単語に反応したリタの様子に、驚きながらもカディオに言われた通り「クララが参加
する」という事実を強調してみせるロービィ。その答えを聞いたリタは、凄い勢いでイフロフの方を
振り向いた。

「オヤジ! あたしも参加したい!!」
「それは構わんが・・・どうした? さっきまではあまり乗り気では・・・」
「いいの!! ・・・ロービィ、それっていつどこでやるの!?」
「あ、うん・・・まだ決まってないんだけど、もし希望があれば・・・」
「水竜術士の家以外だったら、どこでもいい!」

(うわぁ、クララと同じこと言ってるよ・・・)

憤然と言い切ったリタの様子に、苦笑いしながら回覧板に「水竜術士の家以外希望」と書き込む
ロービィ。どうやら、クララとリタには“水竜と火竜”という折り合いの悪さを超えた「ライバル意識」が
あるようだった。

「決まったら、こっちにも知らせてよね。準備して待ってるから!」
「うん、分かったよ。」
「気をつけてな。」
「はい、それじゃあまた後で。」

こうしてロービィは、拳を握り締めたリタとイフロフに見送られて火竜術士の家を後にした。心の
中では、少し気の早い当日の心配をしながら・・・。

(・・・クララとリタ、けんかになったりしたりしないといいんだけど・・・)


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