HAPPY BIRTHDAY          5          10  11 

 −5−

こうして訪れた水竜術士の家では、当然のことながら話はごくスムーズに進んだ。“少年竜の中で一番
素敵な”ロービィに参加の意志を問われたクララは、既に開催が決定しているかのようにこう答えたの
だった。

「決まり切ったことを聞かないで・・・もちろんよ。それで、いつなの?」
「え? あ、それは今から希望を聞こうと思ってたんだけど・・・」
「そうね、三日後がいいわね。」

回覧板にサインをしながらあっさりと三日後を指定したエレに対して、ロービィは不思議そうな顔を
した。

「あの・・・どうしてその日に?」
「ロービィ、もしリリックがこの寄り合いのことを知ったらどうすると思う?」
「え・・・リリックさんが?」
「そう。あの“女の子に目がない”リリックが、七人のうち五人までが女の子だっていうこの寄り合いの
ことを知ったら・・・」

(間違いなく押しかけてくる、よね・・・)

そのときのことを想像してぞっとしない表情になったロービィに回覧板を返すと、エレはくすっと笑った。

「三日後にね、近くの村に用事があるの。新しい井戸が完成するので、私たちもそれを手伝うことに
なってて・・・リリックはそれに連れていく予定だから、その日なら大丈夫よ。」
「そうだったんですか。それと、場所なんですが・・・」
「あ、それなんだけど・・・火竜術士の家だけは勘弁してよね。」

クララの言葉に、首を傾げるロービィ。

「なんで?」
「なんでって・・・決まってるじゃない! あんなガサツで騒がしい人たちがいる場所じゃ、優雅なお茶会
なんてできるわけないでしょ。ぶち壊しだわ!」
「あ・・・うん。分かったよ・・・」

いつのまにか寄り合いが“優雅なお茶会”になっていることに気が付き、苦笑いするロービィ。確かに、
メオはともかくアグリナや下の子たちが乱入してきたら、騒がしい寄り合いになりそうだった。

(これじゃ、リタもこっちでやるのは嫌がりそうだなぁ・・・)

こうして回覧板に「三日後希望、火竜術士の家以外」と書き込みながら、ロービィは小さく溜息を
ついたのだった。


HAPPY BIRTHDAY(6)へ